ガルバリウム鋼板について
最近よく聞くガルバリウム鋼板とはなにか
当社で使用している屋根材・外壁材などの製品のすべてがガルバリウム鋼板から作られています。
というよりも、今の日本の建設業界で使用される屋根や壁用の薄物鋼材のほとんどがガルバリウム鋼板製です。
当ページではこのガルバリウム鋼板についてご紹介したいと思います。
ガルバリウム鋼板について
ガルバリウム鋼板の表面
ガルバリウム /ガルバリュウム(Galvalume) 鋼板は、1972年にアメリカ合衆国のベスレヘム・スチールが開発したアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板の名称。日本国内ではガルバと略称されることも多い。
日本工業規格 (JIS) では、JIS G3321(溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板)で規定されている。
つまりは母材となる鉄板の表面に、アルミと亜鉛からなる合金をメッキ処理した鋼板のことです。
ブリキ・トタン・ガルバリウム 何が違う?
○ブリキ、トタン、ガルバリウム 同じ「鋼板」だけど何が違うのか
ブリキもトタンもガルバリウムも、大きく言いくるめてしまえば全部「鉄板」です。
鉄が錆びているのを見たことはだれしも一度はあるのではないかと思います。
鉄(Fe)という物質は酸素ととても仲が良く、空気に触れているだけで酸化(錆び)を起こします。
これを何とか予防して、長持ちさせることはできないか?と開発されたのがブリキやトタンです。
○ブリキ
ブリキは母材である鉄(Fe)の表面をすず(Sn)で覆って合金とすることで母材である鉄を守ります。
特性として、すずは亜鉛よりも鉄よりも酸化しにくい物質ですが、表面の傷に弱く、メッキ層が傷ついてしまうとすぐに母体の鉄板Feへの浸食が始まるという欠点があります。
○トタン
トタンは母材である鉄(Fe)の表面を亜鉛(Zn)で覆って合金とすることで母材である鉄を守ります。
亜鉛はすずよりも腐食に弱いのですが、表面の傷から腐食が始まった際、腐食により溶け出した亜鉛が傷口を保護する働きがあるため、母材への浸食を抑制することができる利点があります。
この特性のことを犠牲防食性能といいます。
○ガルバリウム
ガルバリウム鋼板は、母材(鉄板Fe)の表面をアルミニウム&亜鉛&シリコンの合金で守っています。
亜鉛にアルミニウムとシリコンを混ぜることで、亜鉛の浸食されるスピードを極端に遅くしようという考え方によるものです。
アルミニウムAlはメッキ表面に強固な不動体被膜を形成し、亜鉛Znの浸食を抑制します、亜鉛の犠牲防食性能を長期にわたり発揮させることで、 ブリキやトタンにはない長期間の耐食性を持った鋼板です。
耐久性は亜鉛メッキ鋼板(トタン)の3倍~6倍とされています。
ガルバリウム鋼板の落とし穴
ガルバリウム鋼板の持つ耐久性等は上記に述べたとおりですが、
建設業者やメーカーの中には、ガルバリウム鋼板について過剰な期待や誇大な広告を行っているものがあります。
いくら高性能とは言えど、あくまで金属板ですので、それ相応のリスクも当然ながらあるのです。
ガルバリウム鋼板のデメリットをいくつか挙げてみます。
1、「錆びない」はウソ
ガルバリウム鋼板の売り出し文句で錆びないなどと言っている業者は、ガルバリウム鋼板のことをよく知りもしないか、 ただのウソつきかのどちらかです。
最も正しい言い方をすると、「ガルバリウム鋼板は、従来の鋼板より錆びにくい」だと思います。
その性能差は上記述べた通りですが、金属でできている以上、条件さえ整ってしまえば錆びて腐食していきます。
化学物質が空気中に排出される工業地帯や、常に潮風に晒される沿岸部の地域、酸の発生する畜産舎などでは、メーカー発表値よりも速いスピードで劣化が進むと考えてよいと思います。
2、「メンテナンスフリー」もウソ
そもそも、この世の中にメンテナンスのいらない建材などどこにも存在していません。
たとえ窯業系サイディングでも塗装が痛めば風化しますし、鋼板でも塗装は時間の経過とともに劣化します。
コンクリートであろうが、石であろうが、未来永久に品質が変わらないものは存在しません。
ガルバリウム鋼板製の屋根材やサイディング等の外壁材も塗装が劣化すれば腐食が始まり、いずれは故障します。
3、強風被害が他建材よりも大きい
強風被害は適切な施工方法と管理方法を取っていれば予防できることがほとんどですが、 もし、強風にあおられて屋根が飛ばされてしまった場合、金属製の屋根のほうが回りに与える被害が大きい傾向にあります。
なぜならば、部分的に飛ばされるのはまれで、多くの場合一枚の大きな鉄板として飛んでいくためです。
台風被害のニュース等で流れる映像であるように、はがれ始めると屋根全体を巻き込んでしまうケースが多いからです。
これを回避するには適切なメンテナンスをして維持管理していく他にありません。
新築の場合でも10年に一度は再塗装をお勧めしますし、数年に一度は専門の業者に点検をお願いして、屋根の状況を把握しておくことが大切だと思います。
まとめ
いかにガルバリウム鋼板といえど、金属板であるということを覚えておきましょう。
そこをよく理解している業者は、切子口をそのままにしたり、 いつまでも水が溜まるような施工は好んで行いません。
「この鉄板錆びないから大丈夫」なんていう業者には気を付けてください。
そして最も大切なのは、お客様が適切な管理を行っていくことだと思います。
数年も経てば建物状態は結構変化しているものです。 適切な管理と適切なメンテナンスが建物を長持ちさせる最大の秘訣です。